防災・避難用品カタログ 2023
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この100年の間に日本は大震災を3つ経験している。1つ目は1923年の関東大震災、2つ目は阪神淡路大震災、3つ目は東日本大震災だ。いずれの災害も多くの被害者を出し、日本全体に衝撃を与えた。私たちはこれらの災害から学び未来の災害に備えられているだろうか。災害は最新の技術により研究され、得られる教訓や災害対策は次々と変わっている。関東大震災から100年を迎える今、全ての国民が災害の原因を正しく知り、最新の教訓を学び防災知識を得る契機となることを願う。が、約6000人の死者を出した。死者のうち7−8割の人が、建物や家具の倒壊に巻き込まれての圧死であった。を求められ、2000年にも建築基準法は改正されている。その災害の教訓は「地震だ、火を消せ」といった防災標語や、毎年9月1日を「防災の日」と定めることに繋がった。これらは全国民に一定の防災知識を与え、災害に対する意識向上、特に初期消火の重要性が大きくクローズアップされた。一方で広く教訓にはならないこともあった。関東大震災は本震から大きな揺れが3度発生直後の日比谷交差点連続する「三つ子地震」であり、津波の被害も観測されていたのだ。これらがなぜあま出典:東京都復興記念館所蔵資料(背景の煙は、空一面に描き加えています)り知られていないのか。被害は直後ではなく時間が経った後に分かる事も多いからだ。私たちは常に最新の研究結果や状況から学び続ける必要性があるだろう。建物倒壊被害から耐震補強が普及するも課題が残る −阪神淡路大震災−阪神淡路大震災は、1995年1月17日に兵庫県南部で発生したマグニチュード7.3の内陸の地震だ。関東大震災より地震そのものの規模は小さいこの災害の教訓は、耐震基準の見直しや家庭内の家具転倒防止の普及に繋がった。現在、1981年以前の古い基準で建てられた建物は耐震診断一方で全国での耐震化は進んできているが、崩壊の恐れのあるビルも残っている状況であることも忘れてはならない。また家庭内の家具転倒防止においても、賃貸物件における家具固定は原状回復義務の借主負担があり進まないケースも多い。東京都港区では、防災目的の家具固定は原状回復義務が免除される(区に関連する物件)取り組みも始まったが、道半ばだ。甚大な津波被害から想定外をなくす大規模災害の想定へ −東日本大震災−東日本大震災は、2011年3月11日14時46分頃に発生したマグニチュード9.0と日本国内観測史上最大規模の海溝型地震だ。震源は三陸沖牡鹿半島から130km付近、深さ約24kmと浅い海底で発生した。最大級の震度7を記録した揺れの規模もさることながら、世界を震撼させたのが津波被害だ。東北太平洋沿岸部の市街地が壊滅的になるだけでなく、原子力発電所への津波の被害も甚大で、12年たった現在も原発周辺には「帰還困難区域」が残る。経済的な被害額も約16兆と「想定外の災害」であった。以降日本各地では想定外を無くすべく大規模災害を想定した防災計画の必要が問われるようになった。実際に東京都を中心に都市部では首都直下型地震を想定した防災計画や、豪雨による広域避難対策について議論されている。大規模災害が発生すると影響を受ける人は多岐にわたる。国民ひとりひとりが防災対策をする時代に変化している。17初期消火の重要性と学び続ける必要性 −関東大震災−関東大震災は、1923(大正12)年9月1日11時58分、震源を相模湾北部として発生したマグニチュード7.9の海溝型の地震だ。火災によって10万人以上の死者が発生し、現在の貨幣価値に換算して約320兆円という甚大な被害を出した。関東大震災100年を契機に、今必要な防災対策のあり方

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