防災・避難用品カタログ 2023
16/106

株式会社総合サービス代表取締役新妻普宣 出典:内閣府「1923関東大震災 報告書」、「首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画」、文部科学省「平成23年東日本大震災における学校等の対応等に関する調査研究報告書」思う。(1)過去の震災におけるトイレ事情レ事情と大差が無く、トイレパニックを繰り返している。2023年9月1日で関東大震災から100年を迎えようとしている。この100年に発生した震災においてトイレ事情はどの様であったのか?今後発生するとされる地震においてトイレ対策はどの様にすべきか?以下3点の切り口で、今後のトイレ対策を提言していきたいと関東大震災(1923年)では、東京市内の屎尿排出量想定1日当たり7,500石(1,353㎥)が、■み取り停止でトイレ不全となり、避難場所では糞尿の山となった。阪神・淡路大震災(1995年)では、断水・下水道不全・停電によりトイレ不全となり、トイレパニックが発生した。東日本大震災(2011年)でも同様にトイレ不全となり、エコノミークラス症候群等も発生した。熊本地震(2016年)でも同様にトイレ不全となり、ノロウイルス感染症も発生した。この様に、100年経った近代においても、関東大震災当時のトイ文部科学省の調査によれば、(東日本大震災当時)「避難所で問題となった施設・設備」は、「トイレが第1位」(74.7%)となっている。現場の避難所で一番問題となっていたのは「トイレ」であったのである。(2)首都直下地震のトイレ想定と備蓄状況政府想定において、「首都直下地震」が発生する確率は「30年以内に70%」と想定されている。トイレに関わる各ライフラインの被害想定は、上水道で1,440万人が断水、復旧に約30日。下水道で最大150万人が不全、復旧に約30日。電気で1,220万軒が停電、復旧に約30日と膨大な被害想定数となっている。結果、トイレの不足数も約3,200万回と膨大な数値となっている。一方で、災害用トイレ(※1)の国民備蓄率は約20%と、非常食47%、水60%に比して、非常に低い備蓄率である(※2)。このままでは、次に発生が想定される各震災において、トイレパニックを繰り返すであろう。(3)今後のトイレ対策想定される「首都直下地震」・「南海トラフ地震」等の大規模地震、近年多発する風水害、新たな脅威となった新型感染症、それらが同時多発する「複合災害」も含めて、我々は災害自体を避けることはできないであろう。また、トイレ不全を防ぐ柱である各種ライフライン(上水道・下水道・電気)の耐震化が完了するには、相当な時間と予算を要するであろう。しかしながら、トイレ不全については、事前に対策を講じておけば被害を回避する事ができる。自治体(避難所)、企業、自主防災組織、マンション管理組合、個人(自宅)それぞれが、「災害用トイレ」を、事前に備えておくことで「トイレパニック」を防ぐことが可能である。“食べ物飲み物は我慢できるが、トイレはいっときも我慢できない”※1 災害用トイレとは、携帯トイレ、簡易トイレ、マンホールトイレ、仮設トイレ等の事※2 一般社団法人日本トイレ協会調査より15災害用トイレの必要性〜100年経ってもトイレ対策は遅れている〜関東大震災から100年3メーカーからの提言

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る