防災・避難用品カタログ 2025
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    災害名 関東大震災 昭和南海地震 阪神・淡路大震災 新潟県中越地震 東日本大震災 熊本地震 大阪北部地震 北海道胆振東部地震 R6能登半島地震 これらの事例から、災害の発生時刻に応じた避難計画やシミュレーションが必要であることが分かります。災害は昼夜を問わず発生する可能性があることを念頭に、日本は地震大国と呼ばれ、その歴史には多くの大災害が刻まれています。特に1923年の関東大震災は、近代国家となった我が国の首都に未曽有の被害をもたらし、約10万人が命を落としました。その後も、1948年の福井地震、1995年の阪神・淡路大震災、そして2011年の東日本大震災など、多くの震災が発生しています。これらの災害を通じて明らかになったのは、災害が起きた地域の地理的特性や社会構造が被害の規模に大きな影響を与えるということです。阪神・淡路大震災では、都市部における老朽化した建物の倒壊や密集した住宅街での火災が大きな被害をもたらしました。新耐震基準後に建設された建物とは大きく被害が異なっており、新耐震基準に一定の評価が下りました。一方、東日本大震災では津波による被害が甚大であり、沿岸部の住民が特に大きな影響を受けました。さらに3つの原子炉が同時にメルトダウンするという後年にわたり被害が継続する重大な事故も発生しました。阪神・淡路大震災が発生したのは午前5時46分、まだ多くの人が睡眠中の時間帯でした。このように、災害の発生時刻は、被害の規模に直接的な影響を及ぼします。1923年の関東大震災(午前11時58分)は昼食を準備している時間帯に発生したため、各地で出火し、都心部は大火災が発生しました。また1948年の福井地震(午後5時13分)は夕方の時間帯に発生し、多くの人が帰宅途中で被災しました。一方で、2016年の熊本地震の本震(午前1時25分)は深夜に発生し、多くの住民が自宅で被災しました。この場合、余震への恐怖や夜間の避難の難しさが混乱を助長しました。また、2018年の大阪北部地震は通勤・通学時間帯(午前7時58分)に発生し、公共交通機関が停止することで多くの人々が混乱に直面しました。発生日時 1923年9月1日 1946年12月21日 1995年1月17日 2004年10月23日 2011年3月11日 2016年4月14日 2018年6月18日 2018年9月6日 2024年1月1日 発生時刻 時間帯 11:58 昼間 4:19 早朝 5:46 早朝 17:56 夕方 14:46 日中 21:26 夜間 7:58 朝 03:07 深夜 16:10 夕方 死者数 主な死亡原因 マグニチュード 約105,385 火災 1.443 津波 6,434 建物倒壊 68 土砂崩れ 15,900 津波 211 建物倒壊 6 44 土砂崩れ 489 建物倒壊 7.9 昼食時間帯、建物の不燃化不足8 早朝の津波に避難間に合わず7.3 旧耐窟基準の建物が多かった6.89 広範囲に津波来襲7.3 2度の震度7で建物倒壊、災害関連死増6.1 小学生がプロック塀の下敷き(建築基準法違反)6.7 全道ブラックアウト旧耐震基準建物倒壊、災害関連死の増加7.6 備 考どんな内容の災害が起こっても柔軟に対応できるよう、策を講じておくことが今後ますます重要であると言えます。152024年1月1日、元日に起きた能登半島地震は、全国民に衝撃を与えました。私は、発災当日のうちに現地へ支援調査に入りましたが、その後6月、そして1年後の本年元日にも現地を訪問し、改めて復旧・復興事業の遅れと、半島という地理的条件が抱える多くの課題を痛感しました。また2025年1月17日で、阪神・淡路大震災から30年が経過しました。この節目の年に、私たちは過去の教訓を振り返り、次の災害に備えるための課題を再確認する必要があります。ここでは、日本の災害の歴史や被害の特性、復旧プロセスの課題、そして現代における災害ケースマネジメントの重要性について考察したいと思います。災害の歴史に学ぶ災害発生「時刻」と「被害」の関連各災害の発生時刻と死亡原因阪神・淡路大震災から30年目に、あらためて防災課題について考える

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