防災・避難用品カタログ 2023
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階級2階級2階級3階級3階級4階級4室内にいたほとんどの人が揺れを感じる。驚く人もいる。室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。立っていることが困難になる。立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされる。ほとんどのエレベーターはセンサーが一定の揺れを感知すると、最寄り階に停止してドアを開ける構造になっています。しかし、そのような地震管制装置があるエレベーターでも、吊りロープが外れたり電気ケーブルが破損すれば、その時に乗っていた人は閉じ込められてしまいます。大地震の影響で、多くのエレベーターが停止した場合、復旧に長時間かかることが予想されます。エレベーター内に閉じ込められた場合、水も食べ物もトイレもない暗闇の中で1日以上過ごさなくてはならない状況も考えられます。このような時のため、エレベーター内に水、食料、ライト、ラジオ、携帯トイレ、防寒具などが収納された防災用品ボックスを設置する必要があります。室内の状況ブラインドなど吊り下げたものが大きく揺れる。キャスター付き什器がわずかに動く。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。キャスター付き什器が大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。キャスター付き什器が大きく動き、転倒するものがある。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。中高層超高層備 考間仕切壁などにひび割れ・亀裂が入ることがある。間仕切壁などにひび割れ・亀裂が多くなる。振幅が2秒以上のゆっくりした揺れを、長周期地震動といいます。最近は揺れを少なくするため免震または制震を採用したマンション•ビルが建設されていますが、長周期地震動に対しては安全とは言いきれません。例えば高さが100mの超高層マンション•ビルの固有周期※は約3秒。周期が3秒前後の長周期地震動が到来したら建物が共振し上層階は1.5m程の振幅で揺れます。長周期地震動は観測された震度以上の被害が起きることが特徴です。マンション高層階の場合、家具什器が倒れガラスは割れて飛散、キャスター付きの家具、大型テレビ・ピアノなどが動き回り、窓の外に落下することも予想されます。また、オフィスでは、書架・ロッカーの転倒落下、事務機器の移動などで負傷する危険があります。日頃から耐震器具で固定しておくことが、最も重要な地震対策です。※固有周期 = 建物が片側に揺れて戻ってくるまでの時間長周期地震動による長周期地震動による高層ビルの揺れの程度高層ビルの揺れの程度気象庁はホームページで、地震の際に震源から離れた高層ビルなどを大きく揺らす「長周期地震動に関する観測情報」の発表を始めました。(https://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/ltpgm/index.html)長周期地震動による揺れの大きさを4つの階級に区分し、高層階での被害の発生可能性や防災対応を行うための判断支援に利用してもらうため、平成31年3月19日から本運用になりました。気象庁の震度観測点で震度3以上を観測する地震が発生した場合、長周期地震動階級の地図上での表示や、観測された波形等の情報を地震発生から20分程度で、気象庁ホームページに掲載しています。超高層マンション•ビルにいる人にとって、エレベーターは必要不可欠な移動手段です。地震でエレベーターが停止すると昇り降りや物の運搬が困難となり、高層難民になってしまいます。また停電になると、自家発電機が運転されても防災設備を稼働する程度の給電しかできず、給水ポンプも停止。トイレも流すことができず、深刻な水不足になってしまいます。給水車が来たとしても、ポリタンクを持っての階段移動は体力を非常に消耗します。水や電気、ガスなどのライフラインの断絶に対応するため、一般的には3日分の飲料水や食料、水不要の簡易トイレなどの備蓄が必要です。高層階の場合は、1週間分の飲料水•食料、カセットガスコンロとボンベなどを備蓄しておきましょう。また、排水管が破損していない場合、流す水があればトイレは使用できます。マンションに住む方は、風呂の残り湯を溜めておくようにしましょう。新耐震基準により構造設計された超高層マンション・ビル※は、震度6強の地震に対しても倒壊はしないことが基準となっています。一般の低層・中高層・高層建築物とは異なる地震災害の危険性が予想されるため、より強固な対策が必要です。※建築基準法で超高層とは高さが60m(約20階)を超える建築物をいいます。長周期地震動に対する備え長周期地震動に対する備え8長周期地震動の階級長周期地震動の階級人の体感・行動階 級階級1階級1高層難民にならないために高層難民にならないために管理組合・自治会、各オフィスで日頃の備え、災害時の行動、避難生活について管理組合・自治会、各オフィスで日頃の備え、災害時の行動、避難生活について話し合っておきましょう。また定期的に防災訓練をしておくことも大切です。話し合っておきましょう。また定期的に防災訓練をしておくことも大切です。超高層マンション•ビルはひとつの街です。災害時の救出、復旧時の助け合い活動でも、日頃のつきあいが決め手となります。ビルで働く人やマンション居住者同士のコミュニティ意識を高めることが大切です。防災マニュアルを基にした災害時の役割分担を決めておき、定期的に防災訓練を行うなどしましょう。食料などの備蓄品は各家庭やオフィスで用意しておくべきです。マンションの管理組合は、家庭では用意できない救出・救護用品を中心に、備蓄品が十分でない家庭も想定し、水•食料•仮設トイレなどを用意しておきましょう。備蓄品の設置場所は、エレベーターが停止した場合は高層階ほど搬送が困難になるので、一定階ごとに備蓄をしましょう。傷病者の搬送には、階段避難車を備えておくと便利です。地震の揺れが収まったら、あらかじめ決めた責任者を本部長とし、救援活動や情報連絡の拠点となる対策本部・救援所を設置します。速やかにビルやマンションの被害状況を把握し救出・救援活動を行ってください。また、行政機関への救援要請なども対策本部で一括して行えば、情報の混乱を防ぐことができます。いざという時のために、日頃の備えなどについて話し合い、すばやく家族や社員等の安否確認が行えるように準備しましょう。エレベーターがストップした場合エレベーターがストップした場合超高層マンション・ビルには独自の地震対策を

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